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今日良かったのはケイ赤城(p)によるマイルストリビュート盤。中古で買ったのだが未開封の新品でした。ケイ赤城はご存じマイルスバンドに在籍した唯一の邦人。マイルスの人選眼には間違いなく素晴らしいものがある。
阿佐ヶ谷ジャズストリートを見て以来、少し考えが変わった。
ところで矢野顕子、邦人ジャズの次ぎに今ようやく良さが分かってきたのがウエストコーストジャズ。以前はちょっと甘い音楽、白人による黒人の〜などと頭でばっかりとらえていたけど、久しぶりにアート・ペッパーのアルトをきいたらこれが素晴らしくてかっこよくて。
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「偉大なるジャズメンとの対話」というのを読んでいるのだけど、ここには本当に偉大なジャズメン達の金言が詰まっている。素晴らしい本。少し手元に置いておきたい気持ちになった。
具体的に言うとみな音楽に対して誠実な気持ちを持っていて、そして恐ろしいほど真面目だ。練習も凄まじい量をやっている。とにかく努力をしている。そしてそれを楽しんでいる。ポップス、ロック方面からジャズに戻った時のマイケル・ブレッカーの喜びや、エレクトリックを使うことについてのジョシュア・レッドマンの考え方。ジャズには拘らない、やっているのは好きなのは音楽なんだというジョージ・ベンソン、とにかくハートで演奏するというリチャード・ボナ。
このハートという言葉、ほぼすべてのミュージシャンが語っていたように思う。超一流のミュージシャン達へのこのインタビュー本はいかに彼らの作品を享受する側のとらえ方とかけ離れているか、を教えてくれた。
彼らは間違いなくジャズ、50-60のモダンジャズが大好きだし、研究という言葉では表せないほど敬意と愛情を持って音楽を演奏している。そもそもテキスト化できない、クオリアを表現したいからこその音楽、なのだ。それをハートという言葉で言っているのだと思った。
この本を読み終えるとこっちも真摯にハートでもって彼らの提示した音楽から何かを感じ取ろうという気持ちになるのだった。
ただの音楽愛好家な僕ではあるが、人生に対する姿勢、何かにトライする時の勇気、失敗を繰り返す事の意味、そういった大切な事を思い出したい時に、常にそばに置いては取り出したいといった類の本なのだった。